というわけで、改めて大阪の賃貸について俯瞰してみましょう。大阪府全体としては北摂を中心としたベッドタウンにおいて地価と家賃がやや上昇傾向にあり、これは遠からず人口流出を招くことになるかもしれません。一方で大阪市は積極的に人口流入と企業の誘致を推進しており、これを支援する意味で公営住宅の充実と家賃の低価格化を図っています。これに付随するように、民間不動産各社の提供するマンション等住宅の分譲価格や賃貸家賃もまた、低価格化に向っていると言えるでしょう。
今回、都島・京橋という二つのエリア、区分で申せば都島区の一部ですが、これら地域の賃貸について大まかに触れてきました。傾向としてはタワーマンションの急増と中古マンションの低価格化が見られます。またこれは大阪市内の他の区域においても概ね一致する傾向です。こうまでして大阪市が人口増加にテコ入れをする背景には、市全体の高齢化が深く関わっていると言えるでしょう。
自治体としては、若い働き手の激減はそのまま税収の低下につながり、財政悪化の原因となることは明らかです。積極的に人を招きいれるための手立てとして、企業の誘致と安価な住宅の提供は二本柱として欠かせないでしょう。そうした背景があればこそ、今、大阪の賃貸は借り手にとって好条件のところが増えているのではないでしょうか。この状況が続けば、大阪の人口増加曲線はさらに上向いていくことでしょう。
また、すでに高齢化を迎えた人口比率についても目をつぶるわけにはいきません。幸いにも大阪市内は全般に平坦な土地であり、北摂のように激しいアップダウンがあまり見られません。考えてみれば、坂の街で高齢化が進めばいずれ困ったことになるわけです。歩いても、自転車でも楽に移動できる街、それが大阪なのです。そんな大阪の賃貸もまた、高齢化を見据えた造りになってきています。
今では大阪の大抵のマンションでは、玄関の段差が低くなり、各部屋と廊下の境もフラットです。玄関や浴室、トイレには転倒防止の手すりが付属しているところがほとんどで、特にトイレと浴室には緊急呼び出しボタンが設置されています。5階以上の高層マンションには最低1基のエレベーターを設置すべし、というのは新建築法の基準ですが、これも高齢化社会の賃貸マンションにとってはプラスとなっていると思います。